2016.08.28

明日に向けて(1295)事故を繰り返している伊方原発3号機はただちに停めるべきだ!

守田です。(20160828 06:00)

8月12日に再稼働を強行し、22日よりフル稼働に移った伊方原発3号機で26日に水漏れ事故が起こりました。
再稼働前、7月17日にも一次冷却水ポンプの故障事故を起こしており、これを含めると再稼働前後で2回目の水漏れ事故を起こしたことになります。
幸いにも今回は深刻な放射能漏れにまで至りませんでしたが、重大事故にいたっていないこの段階で、再稼働に無理があることを認め、原発を停止すべきことを強く主張します。

今回の水漏れ事故が起こったのは、原子炉建屋とは別の「純水装置建屋」と呼ばれる場所です。
加圧水型原発である伊方原発3号機は、炉心を150気圧300度の「一次冷却水」がまわっています。これが「蒸気発生器」の細管の壁を経て「二次冷却水」と接しています。
ここで二次系に熱が移され、二次冷却水が沸騰し、蒸気化してタービンを回して発電する仕組みになっています。その二次冷却水はやはり配管の壁を通じて三次冷却水である海水と接していて、最終的に熱を海に捨てています。

漏えいが起こったのはこの二次冷却水に混じった不純物を取り除く装置を洗浄した「純粋」でおよそ1.3トンが漏れ出したとされています。
この点に関して四国電力が26日に発表した広報を紹介しておきます。

伊方発電所3号機 純水装置建屋内での水漏れについて
四国電力 2016年8月26日
http://www.yonden.co.jp/press/re1608/data/pr015.pdf

原因はこの純粋を「排水処理装置」に送る配管のつなぎ目のパッキングに2センチの亀裂が入ってしまいそこから水が漏れたことだそうです。
四国電力はすでにパッキングの交換を行い、漏れた原因を除去したため、予定されている9月7日からの営業運転には問題がないと言っています。

しかし翌日27日に発表された広報を読み込んでみると以下のように書いてあります。
「今後、パッキンの損傷原因について、詳細調査を実施し、必要な再発防止対策を実施します」
必要な再発防止対策を施したから問題がないのではなく、なんとすでにフル稼働している現下の状態で、これから対策を実施するというのです。

さらにこうも書かれています。
「漏えい水に被水した純水装置B系統の弁24台について、動作不良の可能性があることから、念のため、今後、取り替えを実施します。プラントの運転に必要な純水の製造は、純粋装置A系統で確保します。」
これもひどい。そもそもA,B両系統は同じ装置です。だとすれば同じトラブルが発生する可能性が十分にあります。しかし片方の系統が残っているからこのままフル稼働を続けてもかまわないというのです。

伊方発電所3号機 純水装置建屋内での水漏れの復旧について
四国電力 2016年8月27日
http://www.yonden.co.jp/press/re1608/data/pr016.pdf

このようにフル稼働を続けながら「対策を実施する」「24の弁を取り換える」などと言うのはまったくもって著しい安全性の軽視です。
しかし4月から激発した熊本・九州地震の中で、伊方原発がそこから続く中央構造線断層帯のほぼ真上(正確には6キロから8キロ離れている)に位置していることに全国の注目が集まる中で、どうして再稼働前後で二度も事故を起こしたのでしょうか。
四国電力とて、どんな事故でも起こしてしまえば稼働の継続にとって不利なことは分かっているはずで、「万全の態勢」で再稼働に臨んだはずです。
しかしまず7月17日に1次冷却水ポンプの故障事故を起こしました。このため予定されていた7月末の再稼働は断念され、8月12日まで延期されてようやく稼動に漕ぎ着けました。しかしフル稼働に移るや、またも水漏れ事故が重なりました。

そもそもここに表出しているのは、長く停めていた原発を再稼働させることの大きなリスクです。
なぜならあらゆる機械は動いていない期間が長いだけ、稼動部分がゴミやさびの付着等々によって動かなくなる「固着」などの現象にさらされ、故障しやすくなってしまうからです。
例えば長く動かしていなかったオートバイなど、なかなかエンジンがかかりません。場合によっては分解点検し、油をさしてやるなどしなければ動きません。

ところが原発はあまりに巨大であるため、とても全ての分解点検などできないのです。しかも大量の水を循環させており、その一部は塩分を含んだ海水であるため、金属にとって最大の脅威であるサビに見舞われやすい。
今回、亀裂が入り、水漏れを起こしてしまったパッキングも、膨大な箇所で使われていながら、耐性が強いとは言えず、壊れやすい部分の一つです。
このため実際には再稼働して出力をあげてみないと、どこでどういう不具合が出てくるか分からないのが実情なのです。だから今後も不慮の事故が起こる可能性が高いのです。何せ伊方3号機は5年3カ月にもわたる停止の後に再稼動したのですから。
だからこそ今回の再稼働は極めて危険なのです。伊方原発だけでなく日本中の原発がもう4年以上は停まっています。これだけでもはや再稼働は断念すべきなのです。機械としての限界です。

伊方原発3号機の場合、さらに注目すべきことがあります。再稼働直前の7月17日に起こった1次冷却水ポンプの故障事故が、加圧水型原発の構造的欠陥によってもたらされている可能性が高いことです。
この点に関して、すでに7月24日に「明日に向けて」(1282)と(1283)で論じましたが、今ここでポイントをあげると、このポンプの事故は同型の加圧水型原発で繰り返されてきています。しかもそのうちの一回は伊方3号機で2003年に起こっているのです。
同様に2005年にも同じ加圧水型原発の美浜原発1号機でも同じ事故が起こっています。2008年にも同じポンプ部分に取り付けられた1次冷却水を攪拌するためのプロペラの主軸が折れるという事故が、同型の川内原発1号機で起こっています。

伊方も美浜も川内も三菱重工製の加圧水型原発で基本的構造を等しくしていますから、ここから垣間見えるのは三菱重工がこの一次冷却水ポンプの構造的欠陥を克服できていないことです。
この点を強く疑わせるのは、四国電力が今回の再稼働の直前にこの1次冷却水ポンプの部品を新品に交換していたことです。にもかかわらず再び三度、同じ事故が起こってしまったのです。
ここからは、5年近くも停めておいたがゆえに固着などのさまざまな不具合が生じて事故が起こっているだけではなく、1次冷却水ポンプの構造的欠陥が表出している可能性が強く考えられます。
加圧水型原発は、「蒸気発生器」に致命的な構造的欠陥を抱えていて、三菱重工はここでのトラブル発生をまったくかわせていないのですが、同様なことが実は一次冷却水ポンプにもあるのではないか。この点をすでに以下で論じましたのでご参照ください。

明日に向けて(1282)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!上
2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/643579af330808d6be892623cd6ed94b

明日に向けて(1283)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!下
2016年7月24日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9a7954d2d3903adade7e5affa003fb26

以上から伊方原発3号機は、5年3カ月も停まっていたので、再稼働の前後にすでに2回も水漏れ事故を起こしており、今後、またどこかが壊れて事故を起こすことが考えられること。
蒸気発生器に構造的な欠陥を抱えており、メルトダウンに直結する一次冷却水系統の破断事故などを起こす可能性があること。
さらに一次冷却水ポンプにも構造的な欠陥を抱えており、冷却材の漏れ出し=喪失により、これまたメルトダウンに直結する事故を起こす可能性があること。
これらからだけでもただちに運転を止めるべきなのです。

続く

次回は一次冷却水ポンプの問題にさらに切り込みます。
なお伊方原発3号機の危険性について、本日28日、滋賀県彦根市で開催される「くらしとせいじカフェ@ひこね」の場でお話します。
午前10時からです。イベントページをご紹介しておきます。
https://www.facebook.com/events/1064093957018705/

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