2016.08.15

明日に向けて(1288)伊方原発を動かしてはならない幾つもの理由-上

守田です。(20160815 23:30)

すでにご存知のように8月12日に伊方原発3号機の再稼働が強行されました。
13日には核分裂反応が「安定的」に持続する「臨界」状態に達し、本日15日午後2時過ぎに発電と送電が開始されました。
今後、22日までかけて出力をあげていき、フル稼働したのちに国の検査を受け、来月7日には営業運転に入るとの見通しが語られています。
伊方原発のまったくもって無謀で無責任な再稼働強行に怒りを込めて抗議します。

伊方原発を動かしてはならない理由、すぐに停めるべき理由は実にたくさんありますが、注目すべきことはその多くが川内・高浜原発と被ってもいることです。
なぜならこれらの原発はともに同じ矛盾に満ちた新規制基準のもとで再稼働が認められているからです。
同時に重要なのは同じ構造的欠陥を抱えた三菱重工製の加圧水型原発であるからでもあります。

では伊方原発に固有の危険性、動かしてはならない理由とはなんでしょうか。
一つに地震の大きな断層帯である中央構造線のほぼ真上に存在していることです。
二つに細長い半島の付け根にあり、その先に5000人もの人々が住んでいて、重大事故のときにとてもではないけれど安全な避難などできないことです。
この二つの理由だけでも、伊方原発は即刻、再稼働を中止すべきです。

この点を踏まえた上で、川内・高浜両原発にも共通する動かしてはならない理由を、「明日に向けて」の過去記事を参照しながらおさえておきたいと思います。

第三に、原発再稼働の認可を与えている新規制基準が大きな事故の発生を前提にしており、それへの対策を求めたことになっていることです。
そもそもチェルノブイリ原発事故が起こった時に、この国の電力会社と政府は、「日本ではあのような事故は絶対に起こらない」とうそぶきました。
言い換えれば「だから原発の運転を認めて欲しい」というのが私たち市民との約束だったのです。

この点から言えば、福島原発事故でこの約束は敗れたのですから、その時点で日本の原子力産業を終焉させるべきでした。
ところが新規制基準では、言うに事欠いて「あのような事故は絶対に起こらないと言ってきたことが間違いだ」と言い出したのです。完全な開き直りです。
この点は最も重要なポイントなので、ぜひ以下の記事を参照してつかんでおいてください。

明日に向けて(1062)原発再稼働に向けた新規制基準は大事故を前提にしている! 2015年3月28日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f

第四に、その新規制基準が「福島原発事故の教訓を踏まえる」となっていることの矛盾です。
なぜかと言えば、そもそも福島原発は1号機から3号機までメルトダウンし、核燃料が溶融して落ちてしまっていてどこにあるのかもはっきりしない状態です。
この間、宇宙線のミュー粒子線を使って、ようやく2号機の燃料の位置が確認されつつありますが、それすらも概略が分かっただけです。

肝心の、格納容器のどこがどうしてどのように壊れてしまったのかも分かっていません。
それどころか、猛烈な放射性物質である溶け落ちた核燃料を無事に取り出せるかどうかすら分かっていません。
要するに事故の概要すらつかめてないのです。これで「事故の教訓」に学ぶことなどできるはずがありません。

明日に向けて(1063)福島の教訓に基づく重大事故対策などまだできるわけがない! 2015年3月29日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8

第五に、柏崎刈羽原発の近くで起こった中越沖地震の際、地震動の想定のあやまりが突き出されており、この点がまったくクリアできてないことです。
伊方原発が中央構造線の上にあることを考えるとき、より深刻な問題です。
現在の原発は、直下で襲ってくる可能性のある地震の揺れの大きさをあまりに小さく見積もっているのです。

さらに本年4月の熊本・九州地震では、熊本県益城町において、M6.5震度7の地震が14日に起こったのちに、M7.3震度7の地震が16日に起こると言う、これまでの観測史上にない事態を記録しました。
16日の地震のエネルギーは14日のそれのなんと16倍。さらにその後1カ月の間に震度1以上の揺れが約1400回、昨年1年間の日本中の地震の8割近くが起こってしまったのですが、これまた観測史上初めてのことでした。
これらが突き出しているのは、現代科学がまだまだ地震について多くのことを把握できていないという事態です。そもそもこの点からも地震動設定はかなり厳しく見直されるべきです。

明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)2015年3月30日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1

第六に、あらたに施された加圧水型原発の過酷事故対策がむしろ危険性が大きいことです。
ポイントは水素ガス対策にあります。燃料が高熱化した場合、それを覆っているジルコニウムが水と反応することで水素が発生し、爆発の危険性が生じるのでこれに対応した対策です。
福島原発では水素爆発を避けるために格納容器の中に窒素が封入してありました。このため容器内での爆発は避けられましたが、格納容器の蓋の締め付け部から建屋内に漏えいしたと思われる水素のために大きな爆発が起こってしまいました。

これに対して容量が圧倒的に大きい加圧水型原発の格納容器は、窒素の封入ができないためにより高い危険性があるのですが、これに対して水素が発生したらイグナイタ―(着火装置)ですぐに燃やしてしまう対策をとるとしています。
しかし過酷事故の中でこの装置がうまく働くのでしょうか。なかなか着火がしなければどんどん水素が溜まっていき、やっと着火できたときに、格納容器内での破局的な爆発を誘発しかねません。安全対策どころか自爆装置になってしまいかねないので

す。

明日に向けて(1065)新規制基準の「重大事故」対策はあまりに非現実的でむしろ危険だ! 2015年4月6日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af

明日に向けて(1075)川内原発再稼働も禁止すべきだ!~加圧水型原発過酷事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ~ 2015年4月22日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a

続く

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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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