2016.02.10

明日に向けて(1210)北朝鮮のロケット発射をいかに捉えるのか(報道による事態の捻じ曲げにもの申す)

守田です。(20160210 23:30)

みなさま。
このところ7日に投開票された京都市長選に関わり、候補の本田久美子さんの応援で駆け回っていました。
本田さんが戦争法と原発再稼働反対を掲げるとともに、「子ども未来局」の設置など、現門川市長のもとで進んでいる教育の差別化、子どもの貧困化などを食い止める提言をされていたからです。
また世界遺産である下鴨神社の糺の森の一部がマンション建設のために売り払われたり、二条城周辺の森林が巨大バスターミナルのために伐採されつつあるなど、京都が金儲けのために売り払われようとしていることを本田さんと食い止めようと思いました。

しかし選挙結果は門川現市長の勝利に終わりました。とても残念です。
この過程については、僕のFacebookのタイムラインをご覧になられている方は、連日たくさんの写真や報告がアップされていたのでご存知と思いますが、学んだこと、新しく作りだせたつながりなども多数ありました。
これらも含めた選挙についての捉え返しを僕が参加している「本田久美子さんを勝手に応援する会」の以下のFacebookページに載せていますので、興味があればご覧下さい。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=449268435263826&id=419389324918404&fref=nf&pnref=story

ともあれ現場での連日の現場活動に飛び回っていた期間は「明日に向けて」の更新がまったくできませんでした。
選挙では今も14日投開票の京都府八幡市の市長選で、同じく戦争法反対、原発ゼロを掲げている井筒かおるさん、市議補選にたっているさわむらさんの応援でまだ頑張りますが、ともあれ今日から「明日に向けて」の執筆を再開させていただきます。
どうかよろしくお願いします。

さて今宵は表題にあるように「北朝鮮のロケット発射をいかに捉えるのか」について論じたいと思います。僕が強く指摘したいのは、多くのマスコミがことの本質を見誤っており、安倍政権の都合のよい論調になってしまっていることです。
いやこのことは安倍政権の戦争政策に反対している人々の中でも一部見受けられるように思います。

この点、まず表題でお気づきになった方も多いと思いますが、僕は「ロケット発射」という言葉を使い「ミサイル発射」という言葉を使いません。
事実問題として、今回発射されたのは人工衛星であったことはほぼ間違いがないからです。他ならぬアメリカがそう断定しています。
以下、共同通信配信のニュースを東京新聞の紙面から示し、一部を抜粋しておきます。

北朝鮮ミサイル発射 「衛星」周回軌道を米戦略軍が確認
東京新聞2016年2月8日夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201602/CK2016020802000199.html

 【ワシントン=共同】米戦略軍は七日、北朝鮮が実施した事実上の長距離弾道ミサイル発射により、二つの物体が周回軌道に乗ったことを確認、追跡を続けていることを明らかにした。
北朝鮮が地球観測衛星と主張する「光明星4号」と、ミサイルの三段目の残骸とみられる。
二〇一二年十二月の発射に続き、二回連続で「衛星」を軌道に乗せることに成功したことになり、ミサイルの制御技術が向上していることを示す。

もっともそもそも弾道ミサイルと人工衛星は同じ技術の上に成り立っています。先端に核弾頭を積めば弾道ミサイルであり、人工衛星を積めばロケットなのです。
だからロシアなどでは言語的にも分かれておらずにともに「ロケーター」と呼称されています。
重要な点は今のような政府発表や報道のあり方が認められるのであれば、日本が打ち上げているロケットだって、弾道ミサイルと言えることです。

ただしその場合でも実際の使い方には違いもあります。
何より弾道ミサイルではいったん大気圏外に出てから再度、大気圏に突入し、目的地を目指すことになります。
これに対して、人工衛星の打ち上げでは、大気圏外の軌道に人工衛星を届ければいいので、再突入は目指されません。そして今回も再突入は行われていないのです。ところがこの点は「再突入の技術は未確立」と書かれています。

これらからすれば、確かに人工衛星の打ち上げ自身が、弾道ミサイル技術と一体のものとしているのは事実であるけれども、「人工衛星は嘘で、本当は弾道ミサイルだ」というような書き方が誤りであることが分かると思います。
いや日本が打ち上げている人工衛星とても弾道ミサイル技術なのであり、これと自民党の石破元防衛庁長官が「原発を持つのは潜在的核兵器だからだ」と発言していることを合わせるなら、これまた核ミサイル準備ととられられることにもなりうるわけです。
にもかかわらず、北朝鮮を得たいの知れない悪辣な国家であるかのように描き、恐怖をあおって日本の武装の強化に利用しようとしているのが安倍政権であり、事実を伝える側は、この策略に巻き込まれない慎重な言葉の選び方が必要なのです。

大前提として多くのマスコミが「六か国協議」などという文言を使い、「国際社会の力で北朝鮮の暴挙を抑え込もう」みたいなことを書いていますが、ここにも大きな誤りがあります。
何がいけないのか。まずは「六か国協議」という言葉の使い方がいけない。そんなものは存在しないのです。えっと思われるでしょうか?まずは外務省の以下のページを見て下さい。

六者会合関連協議
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/

極めて大事なのは、外務省がここでは国内では「六か国協議」と言われる言葉を「六者協議」と書いていることです。
なぜか。英文では”the Six-Party Talks”と書かれていて、どこにも「国」に該当する言葉がないからです。外務省のHPは日本語を読める海外の方が読むので、とても「六か国協議」とは書けないのです。
ではなぜこの点が重要なのかと言うと、ここに朝鮮半島をめぐる重大な事態が横たわっているからです。

なぜthe Six-Party Talksなのか。答えは明快です。ここにはお互いを国として承認しあってない者たちが集まっているからです。
日本は北朝鮮と国交がありません。韓国と北朝鮮もそうです。建前上、両者は互いを存在しないものとみなしているので、双方ともにその領土は朝鮮半島全体なのです。
ではアメリカと北朝鮮はどうか。国交がないどころか、実は未だに戦争状態です。正確には1950年より朝鮮戦争がはじまり1953年に休戦協定が結ばれたわけですが、そのままの状態が続いているのです。交戦状態の中の休戦状態なのです。

だからこそ互いを国家として承認しあってない軍事的緊張を孕んだもの同士の対話であるがゆえにthe Six-Party Talksであり、日本語的には「六者会合」ないし「六者協議」でなければならないのですが「六か国協議」となった段階でこの関係性が見えなくな

ってしまいます。
なぜ、いつからこう呼称されるようになったのかまでは調べ切れていないのですが、少なくともこれは日米にとって都合のよい呼称です。
とういのは北朝鮮が「瀬戸際外交」などと言われる一連の行動でもっとも目指しているのが、この交戦の中の休戦状態の解消であり、米朝平和条約を結ぶことで、アメリカの軍事攻撃の可能性を無くすことだからです。

今回の核実験、ロケット発射という流れに対しても、海外メディアでは例えばロイターがこの点をきちんと伝えています。
当該記事を示し、一部を引用します。

北朝鮮、終戦の条約得るまで核実験続ける方針=関係筋
REUTERS ロイター 2016年 01月 12日 16:56
http://jp.reuters.com/article/northkorea-nuclear-usa-idJPKBN0UM12Y20160112

 [北京 8日 ロイター] – 北朝鮮は、朝鮮戦争を正式に終了させるために米国・中国・韓国との平和条約を求めており、この条約を得るまで核実験をやめない方針だ。北朝鮮の意向を中国に伝えた関係筋がロイターに明らかにした。
平壌と接触があり、2006年の最初の核実験の準備に関する情報を持っていたこの関係筋は、北朝鮮が要求する条約が結ばれるまで実験は続くと指摘。「北朝鮮は中国と米国が平和条約を結ぶ意向を示すまでやめないだろう」と述べた。

あるいは昨年10月の北朝鮮のリ・スヨン(李洙墉)外相が第70回国連総会の一般討論演説で以下のように発言しています。なお引用元はロシア政府系メディアのスプートニクです。

Sputnik(スプートニク)2015年10月02日 17:00(アップデート 2015年10月06日 22:41)
http://jp.sputniknews.com/politics/20151002/980981.html

 「朝鮮民主主義人民共和国政府は、朝鮮半島における戦争や紛争阻止のために建設的対話をする用意があるが、それは、米国がマスコミを通じ誰かの挑発について主張せず、現行の休戦合意に代え、完全な平和条約に調印して初めて可能となる。
これが、我々が為しうる最高のバリエーションであり、我々がここで提案できる最高の解決策である。
我々は、国連安保理事会の側から禁止されてはいるが、衛星打ち上げの権利を、あらゆる手段によって断固守り抜くだろう。
我が政府は、国の尊厳を守り通し、平和的な衛星打上げに対する不公正な行為に、今ある防衛手段すべての助けを借りて、力強く答える覚悟に満ち満ちている。」
「我らの宇宙開発は、平和目的のものであり、それを行う事は、主権国家の合法的権利である。一方核実験は、米国の敵対的な政策や核の脅威に対抗するための自衛措置である。」

北朝鮮はこのように繰り返し、アメリカに平和条約の締結、戦争状態の終結を求めているのですが、アメリカはこれを無視し続けています。なぜでしょうか。在韓米軍、在日米軍の駐留意義が大きく崩れるからです。
米軍の存在をあてにしている日本政府も、北朝鮮の要求がここにあることを無視しています。同じく、在日米軍の存続が脅かされるからです。

このようにみるならば、私たちが進むべきものこそ、朝鮮戦争の真の集結=米朝平和条約の締結であり、その後の日朝国交樹立をはじめ、東アジアの戦争状態に終止符を打つことにあることが見えてきます。
そうする中でこそ、北朝鮮の核開発の放棄も可能になるのです。そしてそうなれば沖縄米軍の位置とて大きく揺らぎ、基地撤去が今よりもずっと現実的になります。
アメリカも日本政府もそうはしたくない。だから北朝鮮が繰り返し声高に主張している「平和条約締結を」という要求を無視し、かの国を無軌道で暴力的で恐ろしい国としてのみ描いているのです。

もちろん僕は血の粛清を続けている北朝鮮を良い国などとは思っていません。また核兵器を政治カードに使うことに怒りを覚え続けています。
しかしその状態に真に終止符を打とうとしないのがアメリカであり日本であることをまずは押さえておきたいと思います。にもかかわらず国内ではこうしたことが六者協議の六か国協議への書き換えなどでごまかされているのです。
そのためこの問題を論じるときに、「六か国協議」という誤った言葉を使う方には、僕は「まずその言葉を使うのを止めましょう」と語りかけることにしています。それでは今、起こっていることの本質がまったく見えず、安倍政権を利してしまうからです。

続く

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