2016.01.28

明日に向けて(1208)高浜原発再稼働は大事故を前提としているから認められない!(新規制基準の誤りー1)

守田です。(20160128 17:00)

関西電力が明日29日にも高浜原発3号炉の再稼働を進めようとしています。マスコミ報道によれば、午後に32本の制御棒を抜き初めて翌日30日の朝にも臨界状態に、さらに軌道から3日後の2月1日には発電と送電を開始する予定としています。
すでに多くの方が再稼働の危険性を訴え、現地高浜での24日の大きな反対集会をはじめ、全国で抗議を貫いていますがあらためてここで、この再稼働の何が最も許されないものなのか、ポイントを押さえておきたいと思います。

まず何よりも私たちが重視しなければならないのは、再稼働に許認可を与えている原子力規制庁の新規制基準そのものが、とてもではないけれど安全性の観点から言って許容しがたい内容の上に成り立っていることです。
端的には「大事故の発生を前提とし、これへの対策を施す」ことを再稼働の条件としていることです。大事故を絶対に起こさないのではなく、起きうることを認めて、対策を重ねると言っているのです。

このとんでもない内容を最も分かりやすく示しているのは、昨年3月に原子力規制庁が作成し、3日により高浜町のケーブルテレビでの放映を開始した後にホームページにも掲載した以下のビデオです。
全体で29分のものですが実質的な説明が行われているのは2分40秒からで全体で26分20秒のものです。興味のある方はご覧下さい。

高浜発電所に関する原子力規制委員会の審査概要について
2015年3月
https://www.youtube.com/watch?v=azZk3mPHUrg

ここで説明されているのは新規制基準は福島原発事故の反省を踏まえて作られたという点ですが、その核心として語られているのが「福島原発事故までは重大事故の発生を想定してなかったからいけなかった!」という点です。
これはもう本当にとんでもない開き直りです!チェルノブイリ原発事故が起こった時に日本政府と電力会社は「あのような事故は日本では起こり得ない」と語り「だから運転を継続させてくれ」と国民住民に公言してきたのです。
ところが実際にはチェルノブイリ級の事故が起こってしまった。つまり約束が破れてしまったのですから運転を止めなければならないのです。にも関わらず「事故が起こり得ないと考えていたのが間違っていた」と開き直った。これが一番ひどい!
私たちは何よりもこの点に、川内原発をも含めて、再稼働がまったく認められない点があることをしっかりとおさえ、もっと強く、政府と電力会社に迫っていく必要があるし、マスコミにもこの点を取り上げてくれるようにアピールする必要があります。

原子力規制庁のビデオでは3分35秒から9分00秒で、高浜原発の審査内容を説明する前提として説明されているのですが、とりわけ重要なのは旧規制基準と新規制基準のポイントを語った5分35秒から9分00秒までの内容です。
以下、ポイントを抜き出しておきます。

***

【規制基準の変更について】

1、旧規制基準のポイント(5分35秒から)
想定しなければならない自然現象の種類が限定的だった。例えば地震についてはさまざまな想定していたが、津波についての基準はほとんどなかった。
規制の考え方として、そうした自然現象は想定の範囲を超えることはほとんどないという考え方に立っていた。

安全確保のために設備を多重化すること、例えば注水ポンプを2台にと求めていた。ところが2台が同時に壊れることは考えていなかった。
基準を満たせば核燃料が溶けたり、放射性物質が外部に大量に放出する可能性のあるような重大事故につながることがないよう対策を問題なく行うことができると判断していた。
つまり基準を満たせば大きな事故は起きない。しかも対策の中身は設備面での対策を重視していたということになる。

2、新規制基準のポイント 7分21秒から
平成25年7月に新しく作られた規制基準は、こうした反省、教訓をしっかりと踏まえ、考え方を大きく転換している。
一つ目の見直しは自然現象など重大事故の原因になりうる事象の想定を厳格にしたことだ。
例えば施設の設計にあたって想定する地震や津波を厳しくするとともに、竜巻などの自然現象への対策、や森林火災、内部溢水などの対策を新設したり強化した。
発電所内の電源が使えなくなった時のために、発電所内の非常用電源を手厚くするなど電源確保の要求も厳しくした。

その上で対策はしっかりしているから事故は起こらないという従来の考え方を大きく転換。それでもなお事故が発生しうるという発想にたち、万が一、重大事故が発生したときに備えた対策をあらたに求めることにした。
原子炉を止めたり、冷やしたりすることがうまくいかなかった場合でも、原子炉が壊れないように事故を食い止めるための設備や手順、体制の整備。
さらに原子炉が壊れないための対策も失敗し、原子炉が溶けて核燃料が溶けてしまっても、外側の格納容器が壊れないようにするための対策を新たに求めている。

***

どうでしょうか。完全な開き直りです。なおこのように開き直るに際して、実は重大な用語=タームのすり替えも行われていることをここで指摘しておく必要があります。
これまでこのような大事故のことはシビアアクシデント=過酷事故と呼ばれており、ある時期までこの対策も「過酷事故対策」と呼ばれてきたのです。そして過酷事故には明確な概念規定があります。設計上の想定をすべて突破された事故だということです。
つまりそこからはどのように進展するか分からない段階に入った事故であり、本質的に対策を立てることが困難なものなのです。なぜってどうなるか設計者にも分からないのですから。
原子力規制庁はこの点を十分に知っているがゆえに、この想定できない事故への対策を練るという矛盾を隠すために、「過酷事故」という言葉を「重大事故」にすり替えたのです。

原子力推進派の方たちはどうしていつもこれほどに不誠実なのでしょうか。言葉を変えたって安全が増すわけではありません。いやむしろことの本質を隠すがゆえに、その分、危険性が周知されず、安全マージンを削るばかりなのです。
しかも、このビデオを最後までみると、一通り関電が施した対策を紹介した後で、この「重大事故」すら越えることも想定している!というとんでもない発言までが飛び出します。26分30秒よりの以下のような説明です。

***

新規制基準では「安全追及のための思考を常に止めないことが重要」という発想に立っている。
重大事故の発生という想定をもさらに越えて、大規模な自然災害が発生したり、故意による大型航空機の衝突といったテロリズムによる発電所の大規模な損壊が発生した場合も考えて、態勢や手順の整備を求めている。
もちろんどんなものでも食い止めることができるというわけではない。
しかし高浜発電所3号炉4号炉の審査ではそのような厳しい状態になった場合でも環境への放射性物質の放出をできる限り低減するよう必要な態勢、対応手順を整備することを確認した。

***

「どんなものでも食い止めることができるというわけではない」・・・。
もう、「そこまで言うのか」という感じですが、このように原子力規制庁は自ら定義した「重大事故」をも上回る事故がありうること、「発電所の大規模な損壊」をも前提に運転を認めるというのです。
この最も重要な点が、国民・住民にほとんど周知されておらず、あいまいにされたままに川内原発の再稼働が強行され、いままた高浜原発再稼働が強行されようとしています。あまりに理不尽です。
断固反対の声をさらに高く上げましょう!

続く

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