2015.12.25

明日に向けて(1197)新規制基準に基づく再稼働判断の誤りを突き出し、高浜原発を止め続けよう!

守田です。(20151225 01:00)

みなさま。メリークリスマスです!
今宵は前回の続きもアップします!

前回、新規制基準をめぐる矛盾についても述べましたが、実はこの点も後藤政志さんが前々から指摘されてきたことです。福島原発事故は未だ原因の解明がすべてなされておらず、分かってないことがまだまだ多い。だから今回のような発表も出てくるのです。
ところが新規制基準は「福島原発事故の教訓を踏まえた対策」を求めているのです。しかも過酷事故を起こしても、福島原発事故で放出された放射能の1000分の1になることを求めています。
しかし事故の全容が判明しないのに、どうして対策が建てられるのでしょうか。いやそもそも福島原発事故はいまだに収束などしておらず、相変わらず海に膨大な放射能が垂れ流され続けています。それでなぜ1000分の1などという目標が出せるのでしょうか。

特に深刻なのは、過酷事故が起こるとシール材がやられてしまい、想定になかった電磁弁の不具合だとか、格納容器からの放射能漏れが起こってしまうことが明らかになったことです。
原子炉は巨大な鉄の構造物であると同時に、配管やバルブをはじめ、無数の接合点を有しているため、非常にたくさんのシール材が使われています。鉄と鉄を接合するたけでは密閉構造を作れないからです。
このため柔軟な材料をはさんで加締めることなどで密閉性を確保しているわけですが、一般に柔軟な素材は熱に弱いために、鉄材がクリアできる温度でも先にやられてしまうわけです。

東電は今回の発表で柏崎刈羽原発の再稼働に向けた対策として、当該部分のシール材を熱に強いものに変えると表明していますが、「熱に強い」と言っても、一体、何度まで耐えられるようにするというのでしょうか。
またすべてのシール材の耐熱温度を確かめる実験はなされたのでしょうか。さらに言えばそもそも設計士の想定を越えた過酷事故が発生した場合、各シール材にかかる熱が何度になるか想定できるのでしょうか?
福島原発事故ではこのシール材が激しく突破されてしまい、格納容器の最大の任務である放射能を閉じ込めることに大失敗してしまったのです。それほどに根本的な欠陥、設計の限界であるのに、こんなに簡単に越えられるのでしょうか。

しかも現段階ではこれらの点を東電ですらが「可能性」と語っているに過ぎないのです。確定とは言えない。あくまでも現に起こったことを推定しているのであって、事実は違っていたのかもしれない。
そうであるとすればまだ判明していない原因がありうるということなのです。いや実際に4年9カ月経ってそれまで分からなかったことが分かったのですから、同じように今はまだ分からないことがあると考えるのが当然です。だから「可能性」なのです。
とするならば新規制基準には大きな抜け穴があることも容易に分かります。少なくとも福島原発事故の教訓を踏まえた対策をとるというのなら、すべてが確定的に分かってからでなけれができないのが道理です。

福井裁判所の今回の判断も、新規制基準のさまざまな矛盾を指摘した樋口裁判長の真っ当な仮処分判断を、何らの正当な根拠もなく覆したものであり、新規制基準の大きな抜け穴を見てみぬフリをしたものに他なりません。
このような理不尽なあり方に対して私たちは正々堂々たる抗議を行い、再稼働反対の声をより大きくするだけです。そのためにも、12月17日の東電の発表が、新規制基準の前提を覆しているものであることに着目し、この点も各地で広げていきましょう。
ちなみに東電が17日に発表したのも、24日に判断が出され人々の怒りがそちらに流れるだろうことを計算してのことでしょう。東電はそういうことばかりに知恵を回します。しかしそんなことに騙されてなるものか。東電への厳しいウォッチも継続しましょう。

福井裁判所も、その後ろに控える安倍政権も、このように再稼働容認判断が何らの合理性も正当性もなく、説得力がないことを熟知しているがゆえに、人々が一時の幸せを享受しているクリスマスにあえてこの判断を出したのです。
そのまま年末年始に向かうために最もデモや抗議行動が起こしにくいことを計算の上でです。しかしこのいやらしい時期の選び方はそれだけ民衆の怒りを恐れている証です。心底怖いのです。だからこんな時期を狙うのです。
これは祖父である岸信介元首相を国会を取り巻くデモで倒された安倍首相のDNAに刷りこまれた恐怖だとも言えるでしょう。だったら私たちは安倍政権が最も恐れている道を堂々と、しなやかに、かつのびやかに歩もうではありませんか!

今宵が明けて金曜日の朝を向かいます。この日の夜には首相官邸前や全国の電力会社前などで怒りのスタンディングやデモンストレーションが行われるでしょう。いや積極的に呼び掛け合って行いましょう!
僕も関西電力京都支店前の行動に駆けつけるつもりです。
みなさん。これでひるんではならないしひるむ必要もありません。さらに前に進みましょう!

なお重要な内容ですので、前回ご紹介した東京新聞の記事を貼り付けておきます。

*****

福島原発事故 2・3号機の部品溶融 注水遅れ外部汚染要因
東京新聞2015年12月18日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2015121802100005.html

東京電力は十七日、福島第一原発事故の際、2号機で原子炉圧力容器内の蒸気を抜いて圧力を下げる「逃がし安全弁」と呼ばれる弁を作動させるための装置のシール材が、高熱で溶けていた可能性があると発表した。
また3号機でも原子炉格納容器のふたのシール材が溶け、放射性物質を含んだ蒸気が隙間から直接、環境に放出されていた可能性が高いことも分かった。
いずれも事故の未解明部分として進めていた調査で判明した。2号機のシール材溶融は「原子炉の圧力を下げる作業が難航し、注水が遅れた要因の一つとなった可能性もある」としている。

2号機では、逃がし安全弁を作動させるために窒素ガスを送り込む「電磁弁」と呼ばれる装置のゴム製シール材が溶けた可能性がある。耐熱温度は約一七〇度だったが、検証の結果、高温だと短時間の使用にしか耐えられないことが判明した。
2号機では二〇一一年三月十四日、原子炉に注水を続けてきた冷却装置が停止、消防車による代替注水を試みたが、炉内圧力が高く水が入らなかった。
東電は圧力容器の蒸気を抜くため仮設バッテリーで八個ある逃がし安全弁を開く操作をしたが難航。何度か操作するうち、弁が開いて注水が可能になった。
東電は、電磁弁のシール材が溶けたことで窒素ガスが漏れ、逃がし安全弁が作動しなかった可能性があるとみている。

一方、3号機でも格納容器のふたの接合部に使われていたシリコーン製シール材の耐熱性が不十分だったため高温で溶けて隙間ができ、格納容器の気密性が失われた。
3号機では格納容器から蒸気を放出するベントを十三~十六日に計六回試みたが、うち四回は格納容器内の圧力や電源不足などの影響で十分な効果がなかったことから、第一原発周辺の土地を汚染した3号機由来の放射性物質の大半は、ベントではなく格納容器

の隙間から放出されたと判断した。

東電は、再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)では高温下でも長時間の使用に耐えられるシール材に交換する方針。

<逃がし安全弁> 原子炉圧力容器の圧力が異常上昇した場合に損傷を防ぐため、容器内の蒸気を格納容器下部の圧力抑制室へ逃がす弁。蒸気は圧力抑制室内の水で冷やされ液化される。原子炉1基に複数設置されている。一定の圧力を超えた場合に自動で作動

するケースと、中央制御室から遠隔操作で作動させるケースがある。弁を作動させるには電源のほか、装置内のピストンを動かすための窒素ガスが必要となる。

*****

連載終わり

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