2015.12.07

明日に向けて(1185)原発災害対策をどう進めるのか-ソフトの強化こそキモ!(12日は新島会館に)-1

守田です。(20151207 23:30)

新著『原発からの命の守り方』を上梓して以降、原発災害をめぐるいろいろな講演、企画に参加しました。
あるいはさまざまな企画の場に、この問題を持ち込ませていただきました。
中でも特筆すべきは、滋賀県で三週間にわたって企画参加したことです。

まずは11月23日に大津市で「滋賀の原子力災害対策について知ろう」という企画に参加し、講演させていただきました。
続いて11月29日に「くらしとせいじカフェin近江八幡」に参加、終盤に原子力災害対策について3人のパネラーとやりとりさせていただきました。
そして12月6日に「くらしとせいじカフェin長浜」に参加。前2回の経験を踏まえ、滋賀の原子力災害対策に大きくフォーカスしつつしっかりと話させていただきました。

なぜこれだけ滋賀県に続けて行っているのかというと、嘉田知事を継承した現三日月知事の選挙戦の際に、しがのかあちゃんたちを中心にさまざまな方たちがこの選挙を支え、自民党政治への舞い戻りを食い止め、そこから新しいモメントも生まれたからです。
そのひとつが「くらしとせいじカフェ」です。いわば市民の側にせいじを取り戻すと言うか、くらしの場、なじみ深い場にまでせいじを持ってきて、多くの方の参加を促すようなモメントです。
このなんともしなやかな動きが三日月知事や滋賀の政治家たちをさまざまに囲んでいる。これまた何とも面白い。それで僕も継続的に参加させていただいてきたのですが、とくにこの間は原子力災害対策についてぐっと深みがでることとなりました。

とくになかなか画期的だったのは大津市での企画で、ここには大津市と滋賀県の原子力防災の担当者が参加され、それぞれの対策について講演してくださいました。
これは主催者の方たちが、ダメもとで頼み込んでOKをしてもらったものです。このように行政にしなやかにアプローチして、スルっと来ていただいてしまうのも「しが流」です。
同時に大津市の側、滋賀県の側に語るべきものがあったことも市民集会に出てきた下さった理由だと思います。

というのは大津市は、原子力規制庁が原子力災害対策を事実上半径30キロの市町村にだけ求め、あたかも30キロより遠くには放射能の被害はおよばないかのように振る舞って言ることに対し、独自の計画を作り出したのです。
具体的には避難を含む災害対策エリアを半径47キロにまで拡大設定したことで、福島原発事故で、原発から30キロから47キロに位置していた飯舘村が、今もって全村避難していることを踏まえたものです。
大津市はさらにこのラインを越えてホットスポットが生じうることにも言及し、計画を柔軟に運営することを述べています。

この点では滋賀県も独自にラインを43キロと設定し、原発にもっとも近い湖北地域に安定ヨウ素剤の備蓄を行っています。
この際、なかなか凄いと思ったのは、小中学校、幼稚園、保育園への備蓄を行っていることです。これは篠山市でもまだ実現していないことです。
学校施設は薬品に関するトラブルを防ぐために、基本的にあらゆる薬剤を配らないことにしているからです。この点をどう進めたのか、滋賀県の担当者に聞いたところ「拝み倒しました」と語られていました。素晴らしい!

もちろん僕は原子力災害対策は半径47キロでもとても足りないと思っています。そもそも原発事故が最悪化した場合、どこまで放射能被曝するか分からない。
そのため市役所が高浜原発から54キロにある篠山市では何かあったら「とっとと逃げる」ことを方針にしているし、その際、ヨウ素剤を飲んで逃げるべきことを市民に伝えています。そのために来年1月から事前配布を開始します。
大津の会合では、大津市と滋賀県の取り組みの積極面を高く評価させていただくとともに、さらにもっと対策を推し進めること、ぜひヨウ素剤の事前配布に踏み込んで欲しいと訴えました。

同時に行政の方にも市民の方にも大きく訴えたのは、そもそも私たちが災害対策のパラダイムチェンジの時代を迎えており、その必要性がもっとも高いのが原発災害への対応だということです。
というのは僕が新著のタイトルを『原発からの命の守り方』とした所以の一つなのですが、「災害対策」というと何かしら行政がすべきことだと想念されてしまいやすい。それはこの国の防災システムが行政主軸でできあがっているからです。
しかし昨今、地球的規模での気候変動の中で、これまでの想定をはるかに越える事態が頻発しており、避難指示や勧告が間に合わない事態なども多発しています。行政に頼っているだけではダメなのです。

これが一番顕著なのが原子力災害です。端的に言って原発の運転主体でもなんでもない各府県や市町村に原子力災害対策の知識も経験もないのがあたりまえで、本質的にここには国と電力会社の責任に属するものが押し付けられている構造があります。
加えて各行政は、しばしば想定を越える風水害に直面しており、その面だけでもアップアップになっている。その上、東海大地震や南海トラフ地震にも備えなくてはならない。とてもではないけれども余裕がないのが実情なのです。
しかも、福島原発事故で明らかになったのは、事故になったら国も電力会社も情報をきちんとつかむことなどできないということでした。何せ、1日目に始まったメルトダウンが、既定の事実として認識されたのは5月の連休頃だったのですから。

だから国に的確に逃げろと言う時期をつかむことなどできません。いやそれどころか4号機が危機に陥り、半径170キロの強制避難までが予想されたにもかかわらず、国はあのときこの危機を隠して安全ばかりを強調し続けました。
そのことが何ら反省もされず、責任追及がなされていないのですから、同じ事態になれば必ず同じことが起こりうる。国は迫りくる危機を伝えてなどくれないのです。
だからこそ、民衆の側が自ら危機を察知し、回避し、脱出する術、あるいは被害を少しでも減らす、被曝を少しでも減らす能動性を身に着ける必要があるのです。

続く

企画案内です。12日はぜひ新島会館にお越しください!

守田敏也さん「原発からの命の守り方」(海象社)出版を祝う会
https://www.facebook.com/events/178060139201488/

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