2015.09.25

明日に向けて(1157)在外邦人の危機が高まっている!上

守田です。(20150925 15:00)

強行採決後のシルバーウィークが過ぎましたが、大型連休を挟んでも、国内に広がった「戦争反対」の声はまったく収まらず、むしろ各方面へにさらに急速に波及しつつあります。
京都でも早速昨日24日に「戦争法をただちに撤回せよ」というデモが行われました。
Facebookに動画を投稿したので、アドレスを示しておきます。ご覧ください。

戦争法反対京都デモ 20150925
https://www.facebook.com/toshiya.morita.90/videos/vb.1182740570/10206193901384814/?type=2&theater

すでに書いてきたように、僕は戦争法の強行可決でなんら落胆していません。安倍首相が踏みにじろうとしているのは、日本の中に広く浸透している「平和力」であり、必ず大きな反発が起こること、いやすでに起こっていることを実感しているからです。
しかしけして楽観だけしていられないし、していていいわけでもありません。なぜなら安倍首相の好戦的な態度、アメリカにべったり寄り添う態度が、世界の人々に大きな警戒を抱かせ、強い反発を招いているからです。
とくに激しい怒りを伴いつつあるのが、アメリカにもっとも手酷い目にあわされ続けているイスラム世界の人々の感情です。そのためにすでにもう在外邦人の危険性が飛躍的に高まっています。私たちはこのことをしっかりと見ておく必要があります。

こうした推移を見定めながら戦略を練っているのが、イラクとシリアにまたがるモンスターとなっているISです。(注。ISはIsiamic Stateの略です。次に紹介するテレ朝などでは「イスラム国」としていますが、このブログではISとすることとします。)
ISは9月になって「日本攻撃」を呼びかけました。ISは情報分析に優れており、安倍政権の戦争法案強行可決の姿勢が国内外に反発を呼び起こしていることを見据えてこうした声明を出していると思われます。テレ朝のニュースをご紹介します。

“日本攻撃を” 「イスラム国」が機関誌で呼びかけ
テレ朝ニュース 2015/09/11 16:23
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000058571.html

もちろんこの流れは今年年頭に、後藤さんと湯川さんが人質になっている状況下で安倍首相が中東に訪問し、ISを攻撃している国に援助を行ったこと、エルサレムでイスラエル国旗と日の丸の間にたって「テロとの対決」を呼号した時からの流れです。
当然にもすでに在外公館の関係者が一番危ない状況に置かれていますが、それだけでなくNGOを含んだ日本に関連する機関、企業などもみな危なくなります。旅行者も狙われる可能性があります。

昨日の京都のデモでも「自衛官に殺させるな」「自衛官を殺させるな」というコールが何度も叫ばれていました。「に」と「を」を使いわけたとても説得力のあるコールでしたが、実は今、さしあたっては自衛官よりも民間人の方が危なくなっています。
攻撃する側から考えても、非武装の人々の方が襲いやすく、打撃を与えやすいからです。それが軍事的リアリティです。

しかもそうなると防衛しなければならない人々は膨大にいますから、軍事的に守り切るのはまったく無理です。相手は365日のうちの1日の数時間で襲撃を成功させれば「勝」です。守る側は365日のすべてを守り通してやっと「勝」なのです。
こういう形の戦争のあり方を「非対称的戦争」といいます。イギリスの戦略家、リデル・ハートの言葉です。ベトナム戦争などを分析したものですが、侵略軍と抵抗するゲリラ軍の関係はどこでも似たようなものです。
ISの場合、攻撃してくるのは特攻隊です。自殺攻撃で来ます。逃げることを考えずに攻撃してくるので、最も強く、最も守りにくいのです。実際それであちこちで多くの人々が殺されています。中には屈強なアメリカ軍も含みます。

日本の場合、人道援助などで世界中に信頼関係を積み上げて、人の輪に囲まれることを常としてきたので、いっぱんに軍事的セキュリティ力は低いです。
アメリカの方が民間人であってもセキュリティ意識が高いです。セキュリティ意識が高いというのは、猜疑心が強く、何かあったときにすぐに暴力に依存して自分を守る意識を持っているということでもあります。
多くの日本人はそういう関係に立ってこなかったので、猜疑心が弱く、フレンドリーで、だから狙おうと思ったら一番容易です。メンタリティで言えば自衛隊員とて変わらないと思います。

軍事的に強くなるには、いざとなったら呵責なく暴力を振るい、人を殺せるメンタリティを持つこと。また常に周囲を警戒し、張りつめた緊張感と猜疑心を持ちづつけることです。当然そうなると誤射なども増えますが、それをも顧みない冷徹な意志が必要です。
実際にはこうしたことは人間の通常の感覚に大きく逆らいますから、アメリカ兵の場合ですら戦場を離れてからPTSDにかかり、自殺者をたくさん出してしまうのです。それが戦争のリアリティです。
サマワに派遣された自衛隊も帰国後にたくさん自殺しています。張りつめた緊張感と猜疑心が、心に傷を作り、平和な状態に戻れなくなってしまったのでしょう。これは内側からの「戦死」です。

こうした心理状況から言って、日本人は狙われ出したら実に容易に攻撃対象になってしまいます。
繰り返しますが、国際的な場で自衛隊の力を、つまり武力を使って解決をしてきた経験が少ないので、猜疑心が弱いからです。

こうしたことをも踏まえてだと思いますが、例えばペシャワール会の中村哲さんは、支援活動の中止も考えると語られています。

「テロの標的になる可能性高まる」 NGOに広がる懸念
朝日新聞 2015年9月19日00時33分
http://digital.asahi.com/articles/ASH9L00V8H9KUTIL064.html

記事の一部を引用します。

***

「アフガンでは、日本が第2次世界大戦後、海外に進駐していないことは知られているという。だが、米軍の後方支援を名目に自衛隊がアフガンに来ることになれば、「自分たちの土地に踏み込んでくる」という日本への反感を招くとみる。
その矛先が現地の日本人スタッフらに向けられ、危害が及ぶ心配もあるため、支援活動は「ストップせざるを得ない」と語る。
「私たちが現地の人々の命を守る活動をしているからこそ、現地の人から大事にされ、守ってもらえる。それが最大の防衛。自衛隊の武器では安全は守れない」と指摘。
「お金を使って敵意を買うようなことをするより、他にすべきことがある」と強調する。

***

違うNGOの声も載っているのでぜひ全文を呼んでいただきたいですが、安保法のもとでの自衛隊派遣は、これまでの官民双方でのさまざまな日本による国際貢献の成果を台無しにしてしまい、その分、在外邦人の危険性が高まるのです。
いやすでにもう高まっていることを私たちはしっかりと認識しておく必要があります。

続く

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