2015.07.11

明日に向けて(1106)再稼働よりも核燃料をプールから早く降ろすべきだ!

守田です。(20150711 00:30)

安倍政権の戦争法案の採決の動きに全国でさまざまな反対行動が展開されています。
これにおされてさきほど(10日夕刻)野党5党(民主・維新・共産・社民・生活)で党首会談が行われ「強引な採決を認めない」ことでの一致が作られました。
さらに戦争反対の声を高めていく必要があります!

同時にこの間、何回かに渡って論じてきているように、川内原発の再稼働に向けた動きも、安全性を無視し、科学者たちの必死の提言を踏みにじるようにしてなされつつある暴挙です。
この問題では私たちはさらにさまざまな側面から再稼働の愚かさを指摘し、反対世論を強化していく必要があります。
その点で興味深いニュースが流れたのでご紹介し、考察してみたいと思います。短いので全文をご紹介します。

再稼働前に乾式貯蔵を 米科学者がプール燃料懸念
【共同通信】 2015/07/09 19:14
http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015070901001456.html

米国の科学者らでつくる「憂慮する科学者同盟」のエドウィン・ライマン氏が9日、東京都内で記者会見し、
九州電力川内原発(鹿児島県)などを再稼働する前に、不測の事態に備えるため、原子炉建屋の使用済み核燃料プールの燃料を可能な限り、乾式貯蔵施設に移すべきだと訴えた。
東京電力福島第1原発事故の際、建屋が爆発した4号機でプールの冷却水が失われる危険があり、露出した燃料から大量の放射性物質が外部に放出される懸念が高まった。
事故の教訓を生かすため、ライマン氏は再稼働する前に、地震やテロ攻撃でプールが破損し冷却が止まる事態に備える必要があると強調した。

非常に重要な指摘です。
「地震やテロ攻撃でプールが破損し冷却が止まる事態に備える必要がある」・・・・・まったくその通りです。
燃料プールはまったく脆弱で、福島4号機がそうだったように、大きな自然災害を引き金として、冷却水が失われ、大災害に発展する可能性があるからです。

そもそも燃料プールに今、どれぐらいの燃料体が沈んでいるのでしょうか。2013年9月末時点の資源エネルギー庁調べで、実に日本中で総計1万7285トンもの使用済み燃料が備蓄されています。世界第3位の量です。
使用済み核燃料の運び先とされてきた六ケ所の再処理工場にはすでにプールの容量の96%になる2945トンが備蓄されています。世界最大の出力を持つ柏崎・刈羽原発にも2370トンあります。
再稼働が目指されている鹿児島の川内原発には890トン、福井県の高浜原発には1160トンがあります。
冷却ができなくなると大変危険な状態になる使用済み核燃料が日本中に約17000トンもプールに入っているのが私たちの前にある現実なのです。

しかし少なくともこの記事に紹介されたライマン氏の発言では危険性の指摘がまだ十分とは言えません。
とうのは燃料プールはどこもいっぱいになりつつあるからです。再処理のめどが立たず、運び出す先がないからです。総計で7割が埋まってしまっていると発表されています。
ところが本当は7割ではないのです。実際にはもっと埋まってしまい、運転が危ぶまれたために、かなりの原発で燃料体を入れる間隔を詰めることで容量を増やしてしまったのです。それがあと3割しか空いていない。
この間隔を詰めることをリラッキングといいます。これと同時にラックそのものも増設も行われています。

これがなぜ問題なのかというと、核燃料はいっぺんに集合すると核分裂を勝手に再開してしまう恐ろしい性質を持っているからです。
使用済みと言っても、燃料棒にはウランの燃え残りがあり、さらに新たに生成したプルトニウムが含まれています。大量の核分裂性物質があるわけです。だから再処理したいわけです。
もともと燃料プールの設計にあたっては、例えば地震の横揺れなどに晒されても、燃料棒がぶつかってしまうことなどないように考慮した間隔が設定されていました。
またそもそも設計段階では燃料プールは、数年の冷却を終えたのち、再処理工場に核燃料をまわすことを想定して作られたので、多くを保持するようにはできていませんでした。

ところが核燃料の行き場がなくて、燃料プールから出せない事態に陥った。しかし稼動中の燃料を入れる場所が確保できないと次の燃料を装填できず、運転ができなくなってしまいます。
それで急場しのぎでなされたのが「リラッキング」・・・燃料体の間隔を狭めて、燃料体をぎゅうぎゅうづめにしてしまうことだったのです。
ちなみに最も激しくリラッキングが行われ、それでもほぼ満杯に近づいていたもっとも危険な原発が福島第一原発だったのでした。
その3号機は1号機とはまったく違う大規模な爆発を起こしました。あれは核爆発だったのではないかとアニー・ガンダーセンさんなどが繰り返し可能性を指摘していますが、その根拠も3号機プールがつめつめだったことにもよります。

福島3号機の爆発に関する推論は今は横におくとしても、とにかく日本の原発の燃料プールはもともとも設計段階よりもはるかに危険な状態になっていることを私たちは知るべきなのです。
危機はプールの損壊による冷却水の喪失という形だけで起こりうるのではない。おそろしい再臨界、核爆発の可能性が十分にあるのです。
だからこそ核燃料を一刻も早くプールから降ろし、乾式貯蔵に移すべきなのです。そのためには核燃料は一度使用してしまえば、数年はプールに入れざるを得ないのですから、とにかく稼働などしないで詰め込んだものを降ろし始めるべきなのです。

私たちはこのことをもっと多くの人々に知らせなければなりません。
原発は停まっているだけで、燃料プールに核燃料があるだけで危険です。しかも日本の原発はリラッキングで燃料体をつめつめにしているために、危険性が非常に高くなっています。再臨界の可能性までもが強まっているからです。

同時にこれほどの危険性があるからこそ、私たちは真剣になって原子力災害対策に取り組むべきであることをここで再度、強調しておきたいと思います。
いつ何時、重大事故が発生するか分からないのが原発の現状なのですから、命を守るための真剣な備えをする必要があります。
私たちは政府に対して原子力防災の強化を強く求めていく必要がありますが、しかしこれに頼り、待っていることはとてもできません。民衆の側から能動的に命を守るための手段を重ねていくことが必要です。
そのための考え方の手引きの一つにしていただきたいのが、僕も参加する兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会が先月篠山市長と市民に提出した「原子力災害対策計画に向けての提言」です。

原子力災害対策計画にむけての提言
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

まだまだ改善する余地を大きく残したひな形です。
多くの方に積極的に原子力防災に関わっていただくことによってバージョンアップしていきたいと思いますが、ともあれポイントをなすのは私たちが原子力災害対策において能動性を発揮すべきだということです。
そして各地で原発災害とはどういう特質を持ったものなのかの討論を広げて下さい。原発からどう命を守るのかのリアリティを話し合ってください。
その広がりこそが、そもそも原発とはなんであるのかというもっとも根本的な問題への人々の深まりのある認識を育てていくことにもつながります。

全国にある核燃料プールの危険性にしっかりと目を向け、命を守る対策をみんなで重ねていきましょう!!

Tags:

« | | | »

Trackback URL

Comment & Trackback

Comment feed

Comment

  • ?
  • ?
  • ?