2015.05.30

明日に向けて(1090)安倍首相は戦争には相手がいることを分かっていない。-志位さんとの論戦を観て

守田です。(20150530 14:00)(20150602 小原さんの修正を反映)

映画監督鎌仲ひとみさんのマネージャー、小原美由紀さんが、ご自身のFacebookに安保法制をめぐる論戦の重要でわかりやすいポイントを書き起こして下さいました。
「兵站」をめぐる共産党委員長志位さんと安倍首相とのやりとりです。志位さんがとても鋭い指摘を行っています。今、行われようとしている自衛隊の派兵の実態を鮮明に浮かび上がらせる指摘です。

早速、自分のFacebookページのタイムラインにも紹介しましたが、「明日に向けて」でもご紹介したいと思い、転載することにしました。何はともあれ小原さんのコメントと書き起こしをご覧下さい。
なお以下のページからの転載です。
https://www.facebook.com/miyuki.kohara.7?pnref=story

*****

『俺別に共産党に特に肩入れないし、むしろあんまり近づきたくないぐらい思ってるけど、今日の国会答弁の志位さんの力強さったらもう涙でるてか、人居なくて国会見てたら叫びそうなぐらい素晴らしい。総理は議論が出来てない。』
とか
『国会中継みながら悔し泣き。戦争法案が通りそうだから泣いてるんじゃない。こんなに重要な法案をこんなにとんちんかんなうわっつらの言葉でごまかして平気な顔してる人間を、みなが結果的に放置して好きなようにさせてることに絶望するわ…。』

とか、大事な人たちがつぶやいてるもんだから、
私ったら、私ったら、
<一部だけ、書き起こしました>

後方支援= 兵站 ・・へいたん・・(ロジスティックス)

新ガイドラインでも、全部「ロジスティックス」になっています。前方とか
後方とかという概念はありません。(後方支援と言ってるのは、日本だけ)

~~~~~~

<志位議員>

これは、米海兵隊がつくった「海兵隊教本」でございます。
現在使われているものであります。

「兵站はいかに重要か。
兵站は軍事作戦のいかなる実施の試みに置いても不可欠な部分である。
兵站なしには計画的で組織的な活動としての戦争は不可能である。
兵站なしには、部隊は戦場にたどり着けない。
兵站がなければ、武器は弾薬なしになり、装備は故障し、動かないままとなり、病人や傷病兵は治療のないままになり、前線部隊は食料や避難所や医療なしに過ごさなければならない。」

兵站の重要性について 非常にわかりやすく書かれています。

次にですね「兵站と戦争」、という項があります

「兵站は戦争の一機能であるがゆえに兵站システムとそのシステムを作動させる部隊および要員は、暴力および危険の対象となる。
兵站の部隊、設備、施設は、軍事攻撃の格好の目標であることを認識することが重要である。」

先ほど総理はですね、
「兵站は安全なところでやるのが常識なんだ」と言われましたが、
しかし、海兵隊教本には別のことが書いてあるんですよ。

戦闘部隊はいろんなところに動ける。だから柔軟性がある。
兵站というのは計画的に動かなくてはいけない。より、軍事攻撃の格好の目標になる。
軍事の常識がはっきり述べられています。

そして、結論です。

「兵站は戦争と一体不可分である。兵站が軍事行為の不可欠の一部である
兵站は、いかなる、すべての戦争の中心構成要素である。」

非常に明瞭であります。

総理に伺います。総理は昨日本会議での私の質問に関して
「我が国が行う後方支援は他国の武力の行使と一体化しないように行うものである。このようなことから、武力行使と一体不可分であるというご指摘は当たりません」
と答弁されました。

総理がなんと言おうと、自衛隊が支援する米軍が

「兵站は武力行使と一体不可分であり、兵站が戦闘行為の不可欠の一部であり、兵站は、戦争の中心構成要素だ」、ここまでいっているんですよ。

相手はこういってるんですよ。
これが兵站の本質ではないですか?

<安倍総理>

たしかにですね 今、志位委員がご紹介されたように兵站というのは重要なんですよ。
重要だからこそ、安全を確保しなければいけない。

つまり、兵站の安全が確保できないようなであれば、作戦行動は成り立たないわけなんです。
ですから、われわれが支援するのは、しっかりと兵站の安全が確保されている場所において、いわば後方支援をするわけであります。

食料等々を届けていく。攻撃されて奪われてしまったら、相手に渡るわけですから。だからこそですね
また、後方支援をしている間は攻撃に対しては脆弱である、という考え方のもとに しかし、これもちゃんと、安全を確保しましょう、という考え方でもあるんだろうと思いますよ。

えー、後方支援に際しては危険を回避し、安全を確保することは当然でありまして むしろ、軍事的に合理性があると、思います。

これは同時に、後方支援を充分に行うためにも、ま、必要なことでありまして危険な、まさに、場所にですね、物資をたくさん届けるというのは敵に届けてしまうようなことになってしまうわけでありますから、
そういうところで、いわば後方支援をしないということは、むしろ常識であるということは、繰り返し申し上げてきたわけですが、あえてまた繰り返し 申し上げたいと思うわけであります。

先ほど来、答弁させていただいていますように、戦闘現場ではない場所、そして安全を十分に確保できるということについてですね、
しっかりと見極めながら活動をおこなっていくことに、区域を設定していくことになるわけであります。

<志位議員>

総理はね、これだけ議論したのにまた、同じ事を繰り返す。
「安全を確保します」、と。

しかしね、議論してきたじゃないですか。
これまで「非戦闘地域」でしかやっていけないという歯止めがあった、これを廃止する。
戦闘現場でなければ。これまで政府が戦闘地域と呼んで行ったところまで自衛隊が出かけて活動することになる。
攻撃される可能性がある。これをお認めになりました。
攻撃されたら武器の使用をする。これもお認めになりました。
戦闘になるんじゃないかということを私は提起してまいりました。

まさにこれ 議論を通じて、自衛隊のやる後方支援は、戦闘になるということがはっきりしました。
これがこの議論の到達点なんですよ。

そしてですね、兵站というのは、いま、海兵隊の教本を示しましたが、
戦争行為の不可欠の一部であり武力の行使と一体不可分のものです。だから軍事攻撃の目標にされる。
これが世界の常識であり、軍事の常識です。
武力の行使と一体でない後方支援など世界でおよそ、通用するものではありません。

なお、1986年のニカラグア事件に関する国際司法裁判所の判決は兵器または兵站もしくはその他の支援の供与について、
「武力による威嚇、または武力の行使」とみなされることもありうる、と書いている。
あらゆる兵站がすべて武力の行使でなないということがありえないということは国際司法裁判所も明記していることであります。

しかもこれまでは「非戦闘地域に限る」「弾薬を運ばない」とか言う歯止めがありましたが、今回の法案は外してしまっているではないですか。

武力の行使と一体ではない「後方支援」というごまかしは、いよいよ通用するものではありません。

今日の質疑を通じて政府の法案が 武力の行使を禁止した憲法九条一項に反する違憲立法であることは、明瞭になったと思います。

絶対に、認めるわけにはまいりません。

***

▼動画はこちら

=========

戦争法案 志位和夫議員の質問

https://www.youtube.com/watch?v=0AxtxAeVc3c&feature=youtu.be
*****

小原さんの投稿の転載は以上ですが、ここでの志位共産党委員長と安倍首相のやりとりにはかなり深い意味があったと思います。
読んでみれば誰にも分かるように、安倍首相が「兵站=ロジスティクス」と戦争ないし戦闘とは分けることにはあまりに無理があります。
なにせ安倍首相が、これから積極的に自衛隊を随伴させようとしている米軍自身が兵站と戦争の一体性を強調しているのですから。この点を的確についた志位さんの質問は秀逸です。

にもかかわらず安倍首相は同じ答弁を繰り返す。
志位さんは「総理はね、これだけ議論したのにまた、同じ事を繰り返す。「安全を確保します」、と」と慨嘆していますが、この安倍首相の返答の仕方にはこの方の思考パターンが非常によく表れてます。
返答と言うより、相手が話している論点にまったく応じず、自論だけを繰り返す。絶対に言い負けないための「戦略」でもあるのでしょうが、僕は安倍首相の他者に対する「対応不能性」が表れている「答弁」だとも思います。

実はこの点は、昨年の集団的自衛権論議から一貫していることです。
安倍首相は、自分が想定した世界に基づいてしか相手と会話しない。「その想定は現実と食い違っているのではないか」と批判されると必ず「そういう言い方こそ現実と食い違っている」とか反論する。
いや反論になってないのです。相手の指摘に「こうこうこのように食い違っていない」とは絶対に答えないで、何を言われようが自論を繰り返すだけなのですが、僕はこの方はおそらくこれしかできないのだと思います。

こうした安倍首相の傾向について、1年近く前に以下にまとめたのでご参照ください。

明日に向けて(882)安倍首相の考え方の中にこそ戦争拡大の芽が孕まれている!(首相会見を批判する)
2014年7月3日
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3f91aa119f5837c8bc0720a4135c6b05

さて今回の志位さんへの返答には、日本のかつての侵略戦争への反省をまったく口にしない、安倍首相の「大日本帝国」への強い郷愁、過去の賛美すらもがにじみ出ていると思いました。
というのは旧日本軍は、まさにこの兵站部門が非常に弱く、戦闘地域に食糧すら届かないことがしばしばでした。このため戦死した兵のうち過半は餓死してしまったのでした。
この点は「兵站の軽視」とも、軽視ではなかったのだけれども能力が著しく欠けていたなどとも論議されている点ですが、ともあれ、旧日本軍は弾薬だけでなく食糧などの基礎的物資の補給力が非常に弱かったのでした。

食糧もなしに現地でどう戦うのか。多用されたのは「現地調達」でした。なんのことはない、略奪に走ったのでした。このことが旧日本軍の侵略のあり方をより酷いものにし、アジア民衆の抵抗をより強いものとしました。
ところが日本の過去の反省を頑なに拒み、大日本帝国を美化する安倍首相にはこうした「敗戦から学ぶ」姿勢がまったくありません。
端的に太平洋戦争において、アメリカ軍にもともと脆弱だった兵站部門を徹底的に叩かれ、物資供給ができなくなって各地で戦闘部隊が孤立し、最後には「玉砕」などで滅亡していった酷くて悲しい戦史の捉え返しもまったくないのです。

そのためにこんな言葉が出てくるのです。
「たしかに今、志位委員がご紹介されたように兵站というのは重要ですよ。だからこそ、安全を確保しなければいけない。
兵站の安全が確保できないような場所であれば作戦行動は成り立たない。兵站の安全が確保されている場所において、後方支援をするわけであります。」

「兵站の安全が確保できないような場所であれば作戦行動は成り立たない」と語る安倍首相には「我が軍」しか見えていない。いやそもそもこの方は自分に都合の悪いことは一切、見ようとしないから、常に「相手」が見えない。
しかし現実の戦争に参加すれば当然にも「敵軍」が生じるわけです。その敵軍の立場から見たらどうなるのか。「兵站の安全を奪えば、作戦行動は成り立たない」わけですから、そこは当然にも重要な攻撃目標になるのです。
いや実際に太平洋戦争では、徹底的にこの点をアメリカ軍に叩かれたのです。アメリカはまずは制海権、制空権を奪い、日本の輸送船団を徹底攻撃し、太平洋各地の戦闘部隊を脆弱化していったのです。だから多くの兵士たちは餓死したのです。

その意味で志位さんが掲げたアメリカ軍のマニュアルは、もともと第二次世界大戦において旧日本軍を壊滅させる中で高められてきたものでもあります。
繰り返しますが、兵站つぶしは旧日本軍がかつて徹底して米軍にやられたことなのです。安倍首相は歴史にまったく学ばないから、太平洋戦争を振り返るだけでもあまりの愚かさが指摘できるような言動を繰り返す。過去に学ばない愚かな人物の典型です。
問題はこの方をよりましな方と変えることのできない自民党の惨状です。僕は間違いなく現在の自民党政権は戦後最弱だと思います。最弱だから最も暴力的なのです。

歪められた選挙制度のもとでの議席数に騙されてはいけません。そんなもの、国会外の行動で幾らでも覆せます。
かつてこの国を戦前のような軍国主義に向かわせようとした安倍首相の崇拝するA級戦犯・岸信介元首相を倒したのも、国会を取り巻いた何十万の人々のデモでした。民衆の力の高まりこそが軍国主義の道を阻み、私たちに平和をもたらしてくれたのです。
今も同じ力を発揮する必要がある。そのためにも国会論戦をさらにきちんと把握し、安倍首相と与党のあまりに愚かな「戦争観」に対する批判を広めていきましょう。

秀逸な質問をしてくださった志位さん、いち早く文字起こしをして拡散してくださった小原さんに感謝します!

 

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