2015.03.30

明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)

守田です(20150330 23:30)

高浜原発再稼働に向けた原子力規制庁の高浜町民への説明に対する批判的検討の三回目です。今回は前回の内容の補足です。
前回は、規制庁による重大事故対策の中の大きな要である地震対策への批判的検討を行いましたが、今回はその際に参考にした元格納容器設計者の後藤政志さんの講演内容の文字起こしを掲載することにしました。
内容的に重複しますが、重要な点なので何度も押さえていただきたいと思うのです。

以下、文字起こしをお読み下さい。いつものように「守田がこう聴き取った」という内容であることにお踏まえください。

*****

後藤政志(工学博士)川内原発が溶け落ちるとき~元・原子炉格納容器設計者が問う原発再稼働~
2015年1月31日 薩摩川内市まごころ文学館にて講演 27分30秒から36分23秒まで
https://www.youtube.com/watch?v=4QEwDJhrwFE&feature=youtu.be


地震について1月半ばのNHKの番組で興味ある内容が出された。
地震には海洋の中でプレートが大きく動いて起こる地震とプレート内部に断層ができてそこで起こる地震とがある。
固い断層の上に柔らかい断層が乗っていて、固い地層が動くと上の柔らかい地層動いて、地表に断層が見えるようになる。これで長さなどを測定して計算して活断層に対する予測を立てている。

ところが今回、テレビでやっていたのは、固い地層は動くが上の柔らかい地層は動かず、地表に断層が見えない場合だった。こうしたことがあること自身は前から知っていた。
私が驚愕したのは、最近の例を見ると半分以上が見えない側だと言われていることだ。分かっているのは見える側だけで3割くらい。
一生懸命に活断層かどうかと話をしているが、そもそも活断層は本当に把握できるのか。そう思ってやることは非常に危ない。

逆だ。見えない場合はどうなるのかということを中に組み込まなくてはいけない。
今の原子力規制の問題点はここに活断層があると判断する。二本離れたところにあったら別々の活断層が判断している。今はそんなことは言いきれない。繋げて考えなさいと変わった。
そもそも活断層が見えないときにどうするかという問題がある。

原子力の方ではこういう活断層の下に評価すると同時に、震源がどこか分からないこともあるので、一応、活断層のないところも検討すると言っている。
ただしその地震の大きさがマグニチュード6.5とか小さなものを想定している。もっと大きなものを想定していない。
石橋克彦さんが主張していることだがこれでは評価が甘い。7.2とか7.3レベルをあらかじめ考えておくべきだ。それ以外に方法がない。

2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発の揺れを参考にしたい。この原発の設計基準地震動は450ガルだった。
980ガルが1G、重力加速度だ。450ガルは自分の体重の半分の力で横に揺らされる。60キロの体重の人なら30キロの力で揺すられる。これで原発を設計していますということだ。
ところが実際にあったのは1699ガル、約4倍だった。設計する側から言えば、壊れて当たり前だ。壊れなかったらまあ運のいいことという値で、柏崎ではのきなみ壊れた。

ただし原子炉や大きな配管などのメインの部分は壊れなかった。それで東電は地震に対して丈夫だとうそぶいた。とんでもない。
地震は値だけでなく、揺れに違いがある。大きく揺れる場合も小刻みに揺れる場合もある。揺れの周波数が同じものは共振して揺れが大きくなるので、一回の地震で大丈夫だなどというのはまったく非科学的だ。

同時に問題なのはなんで4倍も揺れたのかだ。地震発生源から地表に来るまでに減衰して450ガルになると考えて設計していた。
ところが4倍になった。なぜかと東電が調べたら、まず地層のところで揺れは1.5倍に評価すべきだったことが分かった。同時にいろいろな層を伝わっていくときに倍化されていって地上では4倍になったと言う。
あとだしじゃんけんもいいところだ。最初は450ガルといって作った。実際にはもっと揺れたので後になって4倍にもなった理屈を作っただけだ。そういうもので原発はできている。

今は一応、地殻の三次元構造を調べろとなっている。しかし信頼性は極めて低いと考えている。いくらでも計算なんかできる。4倍になる計算は無限に作れる。
しかし地層を調べたからと言って、そんなに簡単に予測が当たるとは思わない。実際には相当なずれがある。
こういう不確かなものをもって断層があるとかないとか、揺れの力がどうかと、こういうことを全体像で見たときに、現在の設計基準地震動があてにならないことは、この議論だけでもそう思う。

もっと地震学者はいろいろなことを言っている。
そうするとそもそも設計をするための条件が整っていない。想定された値を越えないという保証はない。津波も同じだ。

続く

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