2013.12.02

明日に向けて(768)秘密保護法制定を阻止しよう!(下)

守田です。(20131202 23:30)

秘密保護法に関する論考の(下)をお送りします。
前回の考察の中で、僕は孫崎享さんの歴史的考察を踏まえた見解への共感を述べつつ、僕なりに、秘密保護法の歴史的背景をまとめましたが、その最後に次のように書きました。

「ただし、ここから先は僕は孫崎さんとは違う意見を持っています。
この上に安倍政権や日本の官僚たちが、この法律の制定に動く強い動機を持っていることを感じるからです。その意味で安倍政権や官僚たちは、アメリカに対して受け身ばかりでなく、ごり押しを利用しようともしている。
その最も大きな点は、原発事故にまつわる問題です。端的に言えば、事故の実態を隠し、健康被害を隠し、 これからの福島原発の廃炉行程や、高レベル廃棄物の処理の過程を秘密にしようとすることです。
ただしさらにそれを規定しているのは、安倍政権や官僚たちの恐怖です。何への恐怖なのか。日本の民衆の覚醒に対しての恐怖です!」

・・・今回はこの続きを書きたいと思います。

常々感じることですが、こうした日本の民衆の覚醒については、実態をよく理解していない、ないし理解しようとしない政治家たちに対し、むしろ官僚たちの方が、はるかに実情をよく把握しているとも思います。
原発がコントロールなどとてもできていないこと、それどころか莫大な危険性を未だに抱えていること、さらには健康被害も深刻に拡大していることなどについてもです。
こうした問題をいかに処理するかを考えるとき、彼ら、彼女らが一番、恐れるのは、隠したい事実がどんどん露見し、社会的批判が高まることでしょう。そのことで国民・住民をコントロールできなくなることを最も恐れているのです。

とくに官僚たちが肌で感じているのは、日本の民衆の新たな覚醒だと僕は確信しています。
なぜか。福島第一原発事故以降、次々と明らかになったことは、政府や東電などの大企業が、どんなに平気で嘘をつくのかということでした。また「東京大学」など、権威をもった学者の多くも真実などまったく語りはしないということでした。
大新聞も本当のことを書かない。マスコミの多くも毒されている。そのことに、どれほどのパーセンテージかは分からないにせよ、日本に住まう民衆の中の大きな部分が確実に気がついた。
このため、「権威」によるコントロールが利かなくなりだした。誰よりもそれに気が付いているのが官僚たちです。

一方、政治家の中で、こうした民衆の動向に最も敏感なのが小泉純一郎という人物なのでしょう。そのために、日本を貧富の差の大きな国に作り変え、若者たちをワーキングプアにおいやった張本人が「原発ゼロ」を言い出している。
裏があるのかどうかは分かりませんが、少なくとも民衆の下からのエネルギーを、なんとか上から集約する必要にかられてのことだと思われます。
いや選挙制度の空洞化は、官僚のみならず、自民党の政治家たちにとっても脅威になり始めているのではないか。民衆の意志が選挙に反映しておらず、民主主義が形骸化していること、正確には民主主義という名のもとでの支配の合法性が崩れているのを、選挙の実態を通じて感じざるをえないのでしょう。

では民衆の中ではどうなのか。権威におもねらず、あるいは議員などに社会変革の可能性を委ねず、自ら学び、必要な知識を広げ、能動的に行動する人々が急速に増えだしています。その象徴の一つが、国会前や、各地の電力会社の前で、延々と続く毎週の行動などです。
これほどの動きは、労働組合など、それまで民衆の権利の砦であった組織が次々と解体されてきてしまったここ20年の中では起きることはなかった。特筆すべき能動的な行動です。

僕自身もこのことを、日々、強く実感しています。前回の記事の冒頭で、11月9日から24日までの間に9回も講演したことを書きましたが、主催者の中には中学校のPTAや地域の自治会、町づくり協議会なども含まれていました。
脱原発の市民運動団体ばかりでなく、あらゆるところで新たな学びが開始されているのです。その現場のさまざまな方たちが、「権威」ある肩書などを持たない僕を、次々と呼んでくださるのです。どの会場も非常に強い学習意欲に包まれている。深く感動します。
秘密保護法は、こうした民衆の覚醒への、政治家たちや官僚たちの恐怖によっても強く支えられ、強行されようとしていると僕は肌で感じています。

そこに象徴されているのは、この国のこれまでの支配の合法性そのものが、最後的終焉に近づきつつあるのだということです。
秘密をたくさん作り、持ちたがるのは、知られることが怖いからです。今の国の在り方から人心が大きく離れていることを、政治家や官僚たちが熟知しているのです。もう民衆を説得し、丸め込む自信がないのです。
冷戦の時のように、国民・住民を統合できるだけの社会保障制度ももはやどんどん壊れている。それどころか、官僚たちはもっと壊さなくてはいけない。自民党の中にもはや旧来のシステムを守ろうとするものは皆無です。

しかも、この国は、抜本的に内部から朽ち果てだしています。多くの企業の、とめどもない倫理的堕落はその象徴です。
産地偽装だとか、点検のごまかしだとかそんなことばかりが繰り返され、無責任体質がどんどん強くなってしまっている。真剣になって国や企業を支えようとする人士が激減しているのです。
当然にもそれは支配力のさらなる低下をもたらしています。こうした実情は私たちよりも官僚の方が熟知している。だから彼ら彼女らは、秘密の強化に走っているのです。

実は秘密の強化は彼ら、彼女らをも縛っていくものです。なぜか。政治家や官僚たちは最も国家機密に近いところにいるからです。
ただし自分の属する部門の秘密にしか触れられない。そのためこれまで政治家や官僚たちは、互いに重要情報をリークしあい、そのことで不断に「調整」を図ってきたのです。
ところがこの「調整」が秘密保持の強制によって効かなくなる。そうなれば、政治家や官僚の中ですら、事なかれ主義で動き無責任体質のものの方が有利になってしまいます。
風通しの悪いところで良い知恵など浮かぶはずがない。その意味で、秘密保護法は客観的に言っても亡国の道なのです。それでも覚醒する民衆を恐れる安倍政権や官僚たちは、この道を採る以外に選択の余地がない。

同時にまた現行の政治システムと官僚制度の瓦解と腐敗は、実はまっとうに生きようとする官僚たちの中からの、抜本的な改革への希求をも生み出していることでしょう。
それは官僚の中からの、民衆への重要情報のリークを増やすことに結果していくことになる。したがって秘密保護法には、官僚の中からの反乱の動きをけん制するモメントも強く含まれいることでしょう。
しかしそれは、彼ら彼女らの中の疑心暗鬼を強めることにしか結果しません。秘密保護法のもとでは官僚たちの中でも強く豊かなチームワークなど生まれるはずがない。だからけして国家の本源的な支配力を強くはしないのに、この道が望まれていることに、この国の行き詰まりが表現されているのです。

こうしたことを踏まえて、では私たち民衆の側はどうしたらいいのか。
何よりも強調したいのは恐れずに進むことです!
まずはこの法案を葬り去るために、残された時間を有意義に使って行動しましょう。こんな法律、つぶすに限ります。そのためにあらゆる行動を起こしましょう。
同時に、アメリカの意図と力強く対決することをめざしましょう。たとえ法案が通ろうが通るまいが、自衛隊をアメリカの属国軍として戦場に送り出すことを認めてはいけない。断固とした行動が必要です。

その際、強調すべきことの一つは、私たちの国の政府、特に長く続いた自民党政権が、北朝鮮をはじめとする諸外国を本当は信頼していたために(あるいは甘えていたために)海岸線にたくさんの原発を建ててしまったことです。
そのうちの一つの福島第一原発は瀕死の状態にあります。他のほとんどのものも、避難もままならない僻地に作られてしまっている。こんなもの絶対に軍事的に守りようなどないのです。
その意味で日本は軍事的リアリティから言っても、戦争などできる国ではないのです。いわんやアメリカの属国軍になりさがって、世界の様々な人々から恨みを買い、ゲリラ攻撃を受けるようにでもなったらとても社会を守り切れない。
私たちは憲法9条を守ることこそ、もっともリアリティのある妥当な道であることを高く掲げていく必要があります。

もう一つ、安倍政権や官僚たちが、私たち民衆の覚醒を恐れているのであれば、私たちはもっと覚醒し、学びを深め、前に前にと進んでいこうではありませんか。
そのために大事なのは、横暴を強める安倍政権に対して、あらゆる意味で萎縮せず、歩みを強めることです。とくに相手は民衆が賢くなることを恐れているのですから、さらに学びと行動を強化しましょう。

三つ目に大事なのは、例えこの法律が成立しようが、私たちにはまだまだ先人が命がけで積み上げてくれたたくさんの人権が残されていることを強く自覚することです。
実は僕はこれまで、若い時のデモ参加などをはじめ、5回ほど公安事件で逮捕されたことがあります。そのたびに警察の留置場に入れられましたが、毎回、同じことを思いました。
「共産党をはじめ、戦前の人たちだったらこれから拷問される。本当に辛かっただろう。今は絶対拷問などされない。先人の積み上げた努力がありがたい」ということです。

多くの人々が、今は戦争に突入した時に似ていると語っています。ある意味ではそうかもしれません。しかし圧倒的に違うのは、私たちの持っている人権のレベルの高さです。
これを十分に自覚しなければいけない。戦前と違って、いきなり監獄の中で袋叩きにあって殺されることなど絶対にありません。私たちはこの人権を有効に使わなくてはいけない。

世界を見渡してみましょう。私たちがいま手にしている人権に遠く届かない地域に住んでいる人々はまだまだたくさんいます。
そしてその中からも、不正義をただし、社会を変革しようとする力強い営為が、次から次へと沸き起こってきています。
私たちは、今こそその一つ一つに学び、励ましを受け、自らの持つ人権の強さに覚醒し、前に進むべきなのです。

アメリカも世界の人々の支持などとっくに失っています。日本の支配勢力も、内側からどんどん朽ちています。
一方、私たちの側には間違いなく新たな覚醒が始まっている。だから僕は今は、巨大な社会変革の入り口なのだと思います。

変革は困難抜きには達成されない。当たり前のことです。局面的には私たちはより暗い道を歩むことになるのかもしれませんが、私たちは、もっと暗い道の中から、今の幸せの根拠を手渡されてきたのです。
だから今、私たちも歴史を紡いでいくために行動しましょう。そのためにも秘密保護法廃案のために立ち上がりましょう。万が一、成立したとしても、その日から、秘密保護法廃棄を掲げた歩みを開始しましょう。

未来世代のために、そして私たち自身のために、どこまでも、頑張りましょう!

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