2013.11.20

明日に向けて(766)福島原発・・・実は震災前からプール内の燃料棒が80体も破損していた!

守田です。(20131120 08:00)

福島第一原発で、18日から4号機プールからの燃料棒取り出しが始まりましたが、その直前の15日に、東京電力がまたしても重大な過失に関する発表を行いました。
なんと震災前から1号機の中に70体もの破損した燃料体が沈められたままになっていたというのです。取り出しを開始した4号機にも3体、2号機に3体、3号機に4体、合計80体がもともと破損していたといいます。1号機ではプール内にある使用済み燃料292体の4分の1に相当する量です。

この事実が明らかにされたのは、15日の記者会見時に配布された下記の「参考資料」においてです。2枚目の「項目6 漏えい等を確認した燃料の取扱い」の末尾の備考欄に「漏えい等が確認された燃料」として記載されいますが、「発表」と言えるほどのものではありません。
実際に報道各社がこの記載内容の重大性を見過ごしたのではないかと思われますが、唯一、河北新報がことの重大性に気が付き、16日に報道したことで多くの人の目に触れるようになりました。

福島第一原子力発電所4号機からの燃料取り出しにかかる安全対策等
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_131115_08-j.pdf

河北新報によると、1号機に破損燃料が集中している理由について、東電は「1号機は当社で最も古い原発で、燃料棒の製造時、品質管理に問題があり粗悪品が多かったと聞いている。2号機以降は燃料棒の改良が進み、品質は改善した。」と説明したのだそうです。
なんということでしょうか。「品質管理に問題があり粗悪品が多い」ものを使用して、70体もの燃料棒損傷を起こしていたことを、東電は4号機からの燃料棒取り出しの直前になって、資料にこそっと書く形で「発表」したのです。
極めて重大な事実です。粗悪品を使って、核分裂発電をしていたなんて、安全性をどう考えていたのでしょうか。しかもこのあまりに姑息な「発表」では、もちろん謝罪も、責任者の追及も行われていません。事故も責任逃れもしたい放題です。

もちろん1号機プールからの燃料棒の取り出しは、かりに4号機のものがうまくいったとしても多大な困難を伴うでしょう。そもそも1号機の炉心にあった核燃料はメルトダウンしており、建屋周辺は放射線量があまりに高くて人間が近づけない状態です。
水素爆発も起こり、かつ何度も地震に揺さぶられてきた建屋の上部に燃料プールがあるのですから、これまた大変危険な状態です。4号機が1533本とあまりにたくさんの燃料が蓄積されているために、危険性が強調されてきましたが、292体もの燃料体がある危険性に変わりはないのです。
なぜなら1号機とて燃料プールが崩壊してしまえば、あまりに膨大な放射線が飛び出してきて、福島原発サイトに人が近づけなくなってしまいます。そうなればやがて他の原子炉も破たんしてしまう。結果からみれば4号機のプールの危険性も、1号機のそれも差異があるとは言えないのです。

さらに4号機に3体の破損した燃料体があることも、11月12日になって発表されたことです。これを報じた福島民友新聞には次のようなことが記されています。
「東電によると、損傷した燃料の1体は「く」の字に折れ曲がっている状態。25年ほど前に燃料を取り扱う際に失敗し曲がった。ほかの2体は10年ほど前に破損が分かり、異物などの混入で外側に小さな穴が開いた状態という。」
なんと25年前に折れてしまった燃料棒が、対処のしようがなくて、そのまま沈められていたわけです。もちろん、取り出しは極めて困難です。また他の2体は「異物混入」が原因だという。それならばがれきが降り注いだために他の燃料棒にも実はもっと大量の損傷が起こっているのではないでしょうか。

燃料棒がすでに合計で80体も破損したいた事実をこのように見てくれば、とても今後の作業が安全に進むとは思えません。震災前の、現在よりもずっと作業のしやすい条件下でも、燃料棒の取り扱いミスが多発していたのです。
しかもその都度、原因を解明し、公表し、責任者の処罰などが行われ来れば、何らかの技術の積み上げた可能だったのかもしれませんが、一切してこなかった。いや隠ぺいと、姑息な「発表」という小技だけを「発達」させてきたのが東電という会社であると言わざるを得ないのではないでしょうか。

この間、繰り返していることですが、この事態の前に「呆れて」いてはいけません。そもそも「呆れる」ことはこれまで本当にたくさんありました。「呆れる」ことにあきあきしてしまうほどにです。
大切なのは、「呆れる」ことではなく、この東電の社会的責任感、倫理観を著しく欠如した仕事ぶりに、私たちの本当に巨大な危機が孕まれていることをしっかりと認識し、危機感をもっと社会の中に深く広めていくことです。
東京オリンピックを返上して、事故収束に国力を注ぎ込むこと、この一環として、原子力災害対策を進め、避難準備と訓練を重ねていくこと、ここにまで進まなくてはいけない。このことと放射能汚染からの防護を重ね合わせて、せめて子どもたちの広域な疎開などから始めるべきです。

東電と政府をなじって済ますことを止め、「何をなすべきか」の討論を各地で巻き起こしていきましょう!

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